代表理事ごあいさつ
感謝。
日頃より、私ども足ル知ル生活の活動につきまして、ご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
公益法人格取得の冒頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
足るを知るという生き方は知足の心がもたらす、感謝と謙虚さをベースにした、他人を思いやる利他の行いです。
(知足とは釈迦の遺教経の中にある言葉です)
足る知る者は富めりという知足の生き方です。欲しいものが手に入らないときは、手に入るものを欲しがれという格言もあります。
満足こそ賢者の石。知足こそ人間の安定があるという考え方や生き方です
人それぞれ「しあわせ」の条件は異なります。
また、時や環境によっても変化します。
変わらないのは、「しあわせ」は自分で感じ取ることです。それは、外ではなく自分の内にあることに気づくことです。
私たちは 財団活動を「ネイチャーキッズ」と命名しました
小学校までの子供達が、点呼役、会費集金役、里山の方への御礼役などの役を割りを自主的にしています。
当初は愛知、三重、岐阜、奈良、静岡の有機農業産地を訪問し、播種、定植、収穫をして子供たちに昼御飯の調理をして共に食事を楽しんでいます。
利他共生に基づき、足るを知ることにより感謝の心が芽生えてきます。
この足るを知る生き方のモデルは自然界にあります。
ライオンも満腹の時は獲物をとりません。必要以上にはむさぼらないという節度が本能的に備わっているのです。
それは本能であり、同時に創造主が与えた足るを知るという生き方でもあります。だから自然界は調和と安定を長く保ってきたのです。
人間はどうでしょう
もっとほしい、もっと豊かになりたい
欲望にはキリがありません
現代人もこの節度を見習うべきではないでしょうか。
もともと我々も自然界の住民でありかつてはその自然の摂理をよく理解し、自分たちも生命の連鎖の中で生きていたはずです。
文明の進歩により連鎖のくびきから解放され、人間だけが循環の法則の外へ出ることが可能になったのです。
と同時に他の生物との共存を図るという謙虚さも失ってしまったのです。
私たちが地球という船もろとも沈んで溺れないためには、もう一度必要以上に求めないという自然の摂理を取り戻すほかありません。
神が人与えた知性を真の叡智とすべく、自らの欲望をコントロールする術を身に付けなくてはならないのです。
すなわち足るを知る心、その生き方の実践が必要になってきます。
今持っている足りる心がなかったら、さらに欲しいと思っているものを手に入れたところで、決して満足することはできないのです。
私欲はほどほどに、少し不足くらいのところで満ち足りて、残りは他と共有しようとする優しい気持ちです。
そこには感謝の心が表れ、ありがとうという思いが自然と出てくるのです。
あるいは他に与え、他を満たす思いやりの心。そのような考え方が必ず日本を救い、大きく言えば地球を救うことになります。
ただし、知足の生き方とは、決して現状に満足して、なんの新しい試みをなされなかったり、停滞感や虚脱感に満ちた老成したような生き方の事ではありません。
経済のあり方に例えれば、GDPの総額は変わらないが、その中身、つまり産業構造自体は次々と変わっていく。
古い産業が滅んでも、常に新しい産業が芽生えていくようなダイナミズムを有したあり方です。
すなわち、人間の叡智により新しいものが次々に生まれ、健全な新陳代謝が間断なく行われる、活力と創造性に満ちた生き方。
イメージとしてはそういうものです。
もっと楽をしたい、もっとおいしいものを食べたい、もっと儲けたいという人間の欲望が今の文明を築き上げる動機になっていますが、新しい時代においては、もっと他人をよくしてあげたいという、思いやりや愛をベースにした利他の文明が花開くかもしれないのです。
そこへ達することより、そこへ達しようと思うことであり、そしてそう努めることが大切なのです。
そうであることより、そうであろうとする日々が私たちの心を磨きます。
そのようにして私たちの心が高まっていけば、知足利他の社会へ至る道程も、そう遠いものではないはずです。そして素晴らしい社会が実現します
様々な体験活動を通じ、子供たちの心を育むお手伝いが出来たらと思っております。
本年度においても、皆さまの一層のご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。
2019年4月1日
公益財団法人足ル知ル生活
代表理事 牛田 彰